平成21年5月19日

日本透析医学会会員 各位

社団法人 日本透析医学会
 理 事 長  秋澤 忠男
総務委員長  水口  潤
感染調査小委員長 篠田 俊雄

 
外来血液透析施設における新型インフルエンザ対策について

 
 報道によれば,新型インフルエンザの国内感染が急速に拡大しています.弱毒株とはいえ,合併症を有する患者さんの重症化率および致死率の増加が懸念されます.
  そこで,もし自施設内で感染患者の透析を実施する必要性が生じた場合の,施設での感染拡大防止に関する取り組みについて,具体的な参考資料を下記に提示します.

 各透析施設において「行動計画」を策定する際には,日本透析医会・日本透析医学会が合同で作成した「透析施設における新型インフルエンザガイドライン」に則り,今回提示した参考資料を活用して下さるようお願いします。

 また,併せて CDCの,外来患者血液透析施設における新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染症の確定例,要観察例,または疑似症患者治療時の,感染コントロールのための暫定的な手引(ガイダンス)
http://www.cdc.gov/h1n1flu/guidance/hemodialysis_centers.htm
および,
「まん延期の事業計画(一般医療機関)」
http://www-bm.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/090430-01c.pdf
を添付します.
 
<参考資料>
外来血液透析施設における新型インフルエンザ対策
.新型H1N1インフルエンザ隔離・予防の基準を満たしている血液透析患者(確定例,要観察例,または疑似症患者)は,通常ならば,(最寄りの保健所に相談の上,)感染症指定医療機関等(感染症診療協力医療機関を含む)へ移送され,入院勧告あるいは任意入院して隔離透析を受けることになるが,感染症指定医療機関等の収容限度を超えた場合は,(かかりつけの)外来透析施設で透析されることになる可能性がある.

.透析患者はかかりつけ透析施設へ到着する前と到着時にトリアージされるべきであり,37.8度C以上の発熱と,一つ以上の呼吸器症状(鼻水や鼻詰まり,のどの痛み,咳)のある患者は,できるだけ早く他の患者から隔離されるべきである.

.(トリアージで隔離すべきと判断された)患者はサージカルマスクをして,もし可能ならばドアが閉まる状態で,別個の透析のできる部屋に置かれるべきである.

.別個の部屋がない場合,患者はサージカルマスクをして,もし可能ならば,主な人の流れから離れたコーナーまたは列の端で治療されるべきである.また,患者は最も近い患者から,どの方向でも少なくとも6フィート(約2メートル)は離されるべきである.(空間的隔離)

.その透析施設に隔離すべき新型H1N1インフルエンザ確定例,要観察例,または疑似症患者が2名以上いたら,これらの患者とスタッフを一つのユニットやシフトに集めて一群として区別する事を考えるべきである.(患者層別集団隔離:空間的・時間的隔離)

.スタッフが,新型H1N1インフルエンザ確定例,要観察例,または疑似症患者から6フィート(約2メートル)以内に入る時には,ゴーグルまたはフェイス・シールドによる目の保護,およびN95マスク,非滅菌の手袋とガウンの使用をすべきである.

.当該透析ベッドから離れる前に,マスク,ガウン,および手袋を外して適切に廃棄し流水と石鹸による手洗い又はアルコール製剤による手指消毒をおこなうべきである.

.すべての血液透析患者と同様に,新型H1N1インフルエンザ確定例,要観察例,または疑似症患者に対して,透析ベッドのそばに持っていったすべての医療用物品は,その患者専用として使用し,使用後に処分するか,別の患者に再使用される前には,その患者に使用した直後に,それらの器具に対して通常実施している適切な方法で洗浄・消毒あるいは滅菌されるべきである.

.ベッドサイドの透析チャート用コンピュータのような物品は,その患者の治療中は専用とし,他の患者に使用する前には適切に清掃,消毒されなければならない.

10.患者が透析ベッドを離れてから,他の患者のためのセットアップを始める前に標準的予防策に従って,環境表面の清掃,消毒がなされるべきである.

11.これらの予防は,患者の発症後7日間か,症状が取れてから少なくとも24時間かの,どちらか長い方の間,実施されるべきである.

*この外来血液透析施設におけるガイダンスは,2009年5月8日米国東部標準時間午後3:30発表のCDCガイダンスをわが国の状況に併せて改編したものであり,蔓延期に,自施設内で外来透析を実施しなければならない状況下で,それぞれの透析施設が以上の対策を講じることが望ましいと勧告されたものである.

*まん延期などにおける迅速診断キットや抗インフルエンザ薬の不足に対しては,「発熱外来」で診断してもらい,必要なら「抗インフルエンザ薬」の投与を受けてから,かかりつけ透析施設へ来院していただく方法もあると考える.

*タミフルの予防投与の適応症については,薬事法承認事項として,以下のような項目がある(日本医薬品集).
 「予防:原則として,インフルエンザウィルス感染症を発症している患者の同居家族又は共同生活者である次の者を対象/高齢者(65歳以上),慢性呼吸器疾患又は慢性心疾患患者,代謝性疾患患者(糖尿病等),腎機能障害患者.」
 このことより,家族内に新型インフルエンザ患者が発生した場合には,透析患者への予防投与が可能と思われる.

(上記資料は日本透析医会より提供されたものである)


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