学術集会における統計調査速報値の公表中止について

会 告
平成30年4月10日
一般社団法人日本透析医学会    
理 事 長 中元秀友
統計調査委員会委員長 政金生人

 
学術集会における統計調査速報値の公表中止について

 日本透析医学会統計調査は、これまで年次学術集会・総会時に、わが国の慢性透析の現況について速報値の発表を行ってきました。2013年までは速報値に基づいて「図説 わが国の慢性透析療法の現況」を作成し、その後データクリーニングを行った確定値で現況CD-ROMと学会誌の年次報告書を作成しておりました。しかし、様々な局面において引用される透析医療に関する数値は、確定値ではなく図説の速報値であったため、2014年から図説、CD-ROMおよび年次報告書とともに確定値で作成し、数値を一本化しました。ただし、2014年以降も施設調査票に基づいた患者総数と導入患者数および死亡患者数については、学会員の関心が大であることを勘案して、速報値の発表を行って来ました。
 本学会の予測ではわが国の慢性透析患者数は、2021年の約34万9千人をピークに減少に転じると予想されており1、その時が迫ってきております。このような時期におきまして、速報値の発表を継続した場合、患者動態についての見解が学術集会時と確定値で異なってしまうことが危惧されます。たとえ数人の差であったとしても、「減少」と「増加」が分かれてしまうと、その後予想される様々な混乱は決して小さなものではないと思われます。
 以上の理由から、日本透析医学会は年次学術集会・総会における統計調査速報値の報告を2018年度から行わないことを決定いたしましたのでお知らせいたします。会員の皆様におかれましては、一刻も早くわが国の透析療法の現況をお知りになりたいと推察いたしますが、上記理由に鑑み、年末の確定値の報告までお待ちくださるようお願い申し上げます。
 今後も引き続き、日本透析医学会統計調査へのご協力を重ねてお願い申し上げます。
以上

参考文献
1) 中井滋,若井建志,山縣邦弘,井関邦敏,椿原美治.わが国の慢性維持透析人口将来推計の試み.透析会誌2012;45:599‒613.