【重要】委員会報告「透析排水管理に必要な除害施設の導入:東京都23区内を例として」を公開するにあたって

委員会報告「透析排水管理に必要な除害施設の導入:東京都23区内を例として」
 
日本透析医学会
  会 員 各位
 
透析排水管理ワーキンググループ
 
 透析排水の適正管理に関して、透析関連3団体である日本透析医学会、日本透析医会及び日本臨床工学技士会では「透析排水管理ワーキンググループ(以下、WG)」を設立し、関係団体の協力のもと具体的な対策の立案等に向けて検討してきました。当WGと議論を重ねてきた東京都下水道局(東京都23区内を管轄)から、このたびWG長あてに「透析医療機関への排水指導について」の書面が届き、東京都23区内透析医療機関を対象にした排水指導についての周知依頼がありました。本委員会報告はその中で特に重要と思われる透析医療機関向けの「除害施設の新設・変更の流れ」と「簡易中和処理による暫定的な対応の流れ」について記載したもので、都市部の透析医療機関の排水管理にきわめて有用なものと考えています。
 なお、東京都下水道局の排水指導は本年2月よりすでに開始されており、除害施設を設置していない既存の透析医療機関に対して、除害施設の設置を引き続き指導し、また、新規に開業する場合は、あらかじめ除害施設の設置を願いするとのことです。場所が確保できない等の理由により除害施設の設置が困難な場合は、アルカリ性の薬剤を流して排水管中で中和させる簡易的な処理法である「簡易中和処理」を、除害施設を設置するまでの暫定的な対応として扱うとのことです。しかしながら当局は基本的に「簡易中和処理」は除害施設に該当しないと考えていることから、除害施設の設置が可能となった時点で速やかに移行する必要があります。
 さらに当局は除害施設等の管理状況や排水の水質を確認するため、下水道事務所の職員が透析医療機関に対し下水道法第13 条に基づく立入検査を実施するとのことです。その結果、排水の水質が下水排除基準を超過した場合、当該透析医療機関に対し水質の改善を促すための行政指導文書を交付するとのことです。ただし、除害施設等の設置に要する期間を考慮して、交付開始時期は令和4年度以降とのことです。
 下水排除基準を超える透析医療機関においては、除害施設等の導入を含め、下記「2019年版透析排水基準」を参考に適正な排水管理に努めて下さい。
 
峰島三千男、友 雅司、中元秀友、宍戸寛治、秋澤忠男、内野順司、本間 崇:「2019年版透析排水基準」 透析会誌 2019;52(10):565-567
 
 今回東京都下水道局より示された届出の流れと暫定的な対応としての簡易中和処理は、東京都に限らず都市部での透析排水対策のモデルとしてきわめて有効なものと思われます。但し、排水管理にあたっては自治体ごとに下水排除基準や届出方法が異なりますので、確認をお願いします。
 
なお、除害施設(中和装置)ならびに簡易中和処理装置に関しては下記の文献等をご参照下さい。
1)血液浄化に関する報告書 | 臨床工学技士、医療従事者の方へ | 公益社団法人 日本
臨床工学技士会 (ja-ces.or.jp), 2019 年版透析排水基準達成のための手順書 Ver
1.00 日本臨床工学技士会ホームページより
https://www.ja-ces.or.jp/for-ce-medical-staff/publication/reports-on-blood-purification/
2)透析排水処理装置:血液浄化機器2020, 臨牀透析8月増刊号, 2020 ;36(9):976-983
 
委員会報告については、下記のPDFでご確認ください。
委員会報告「透析排水管理に必要な除害施設の導入:東京都23区内を例として」.pdf