イスタンブール宣言2018 5学会共同声明

令和4年12月27日

日本移植学会     理事長 江川 裕人
日本臨床腎移植学会 理事長 剣持 敬
日本内科学会   理事長 南学 正臣
日本腎臓学会   理事長 南学 正臣
日本透析医学会  理事長 武本 佳昭
 
イスタンブール宣言2018 5学会共同声明

 20 世紀の最大の医学的進歩の一つである臓器移植は、世界中で数十万人の患者の命を救い、その生活の質を改善してきた。ドナーとその家族による数え切れない寛大な行為と、ひたむきに努力してきた医療専門職による多くの科学的・臨床的 進歩によるものである。
このような功績の中で、臓器取引や臓器摘出のための人身取引、また貧しく弱い立場 の人々から臓器を購うために海外に赴く患者など、数多くの事例が報告されている。

 この非倫理的な行為による喫緊で拡大する問題に取り組むため、国際移植学会(TTS) および国際腎臓学会(ISN)は 2008 年 4 月にイスタンブールでサミット会議を開催し、イスタンブール宣言を発出した。 以後同宣言は 135 ヵ国以上の国の臓器移植関連医学会や国際的医学会、政府機関によって支持されてきた。 同宣言を広め,各国の取り組みを見守るためにTTSとISNは2010 年にDeclaration of Istanbul Custodian Group(DICG) を設立し,10 年を経た2018 年には臓器取引や移植ツーリズムに関連した課題の変遷に対応し,同宣言の2018 版が採択されている。その骨格は臓器取引(organ trafficking)、 臓器摘出のための人身取引(trafficking in persons for the purpose of organ removal)、移植のための渡航(travel for transplantation) 、移植ツーリズム(transplant tourism)は非倫理的であり、臓器提供と臓器移植の自給自足(self-sufficiency in organ donation and transplantation)、 臓器提供における金銭的中立性(financial neutrality in organ donation)が守られるべきとされる。

 わが国では1997年10月に「臓器移植法」が施行され、本年で25周年を迎える。今回日本移植学会は日本臨床腎移植学会、日本内科学会、日本腎臓学会、日本透析医学会と共に、イスタンブール宣言2018 版を共同で承認した。 移植の恩恵は、非倫理的行為や搾取的な行為に依存することなく最大化され、公平に、それを必要とする人々に分配されなければならないという、臓器移植専門家と関連分野の5学会の決意をここに表明するものである。

イスタンブール宣言2018(和訳).pdf