国内の透析施設におけるC型肝炎ウイルス(HCV)のアウトブレイクについて

2023年10月30日

公益社団法人日本透析医会    会員各位
一般社団法人日本透析医学会    会員各位
 
公益社団法人日本透析医会
会 長  秋澤 忠男
医療安全対策委員会感染防止対策部会 
委員長  菊地  勘
一般社団法人日本透析医学会 
理事長  武本 佳昭
感染対策委員会 
委員長  菊地  勘
 
国内の透析施設におけるC型肝炎ウイルス(HCV)のアウトブレイクについて

 平素より日本透析医会および日本透析医学会の活動にご協力いただき感謝申し上げます。
 国内の透析施設におけるHCVのアウトブレイク事案についてご報告をさせていただきます。

 2022年から2023年にかけて、当該の透析施設ではHCVの新規感染者が5名発生しております。この事案について検証いたしましたが、院内感染であったかどうか、アウトブレイクの原因や感染経路など、明らかとなっておりません。

 国内の透析施設では、B型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)のアウトブレイクは長期間発生しておりませんでした。しかし、透析施設では、穿刺や返血など観血的な手技が多く行われる医療現場であり、一般的な外来診療と比較して、血液媒介感染症のハイリスクな医療であることを再認識する必要があります。透析施設では、手指衛生、適切な個人防護具、標準的な透析操作、適切な環境消毒など、「透析施設における標準的な透析操作と感染予防に関するガイドライン」に準拠した感染対策の徹底が重要となります。

 近年では、HBVやHCVのアウトブレイクは極めて稀ですが、今回と同様の事案はすべての透析施設で起きる可能性があります。全国の透析施設で同様の事案が起きないように、この事案を報告させていただきました。各透析施設におかれましては、今一度、基本的な透析操作および感染対策の確認をよろしくお願い申し上げます。