理事長就任のご挨拶



 

一般社団法人 日本透析医学会理事長
中元 秀友
(埼玉医科大学総合診療内科教授)

 
 
  この度、2016年6月9日に開催されました一般社団法人日本透析医学会理事会において、日本透析医学会理事長に選任されました。日本透析医学会は1968年(昭和43年)に任意学術団体の人工透析研究会として発足し、1985年(昭和60 年)に日本透析療法学会と改称しています。1993年(平成5年)には社団法人としての認可を受け、日本透析医学会として発展してきました。2012年(平成24年)9月3日からは、公益法人制度改革に伴う法人形態の見直しにより、一般社団法人日本透析医学会として再出発しました。現在日本透析医学会は学会員数17000名(個人会員、施設会員、賛助会員を含む)を誇る本邦でも有数の大きな学会であり、日本透析医学会学術集会•総会は約20000人の日本における透析療法にかかわる医療関係者が一堂に会する学術集会として知られています。毎年多くの参加者のもと、熱い議論が交わされています。このような本邦でも有数の学会の理事長に選任されたこと、身に余る光栄なことと感じています。

  末期腎不全患者の延命と社会復帰を目的とした透析療法が広く行われるようになり、すでに40年以上が経過しています。多くの先人達のご努力により、本邦の透析療法は大きく進歩してきました。その結果、日本は現在世界一の透析大国となっています。多くの患者さんが透析をしながら、社会の一線で活躍されています。本邦はどの国よりも透析患者の予後の良い国として知られています。しかしながら、日本の透析療法が幾つかの重要な問題に直面し、大きな変革の時期にきている事も事実と思います。それは高齢者の増加に伴い年間の患者数増加率が鈍くなっている事、さらに透析患者数の増加に伴う医療費の増大、終末期医療の議論等です。特に透析患者さんの高齢化、合併症を有する患者さんの増加は今後直面する可能性の高い重要な問題点と言えます。これらの問題に対しても、学会としての方向性を皆様とともに考えていければと思っています。

  また医師にとって新たな専門医制度が2017年から開始される事になっていますが、未だその方向性が見えてきません。特に日本透析医学会は現在まだ未承認の学会として日本専門医機構のヒヤリングを受けています。今後できるだけ早い時期に日本専門医機構の認定を受けるべく専門医制度委員会が中心となり、新しい専門医プログラムの確立に取り組んでいます。この専門医制度機構の整備指針にそった専門医プログラムの確立も重要な課題です。さらに看護師の分野でも厚生労働省の特定(行為のできる)看護師、日本看護協会の認定看護師、さらに日本腎不全看護学会の透析療法指導看護師等などの資格が知られています。また臨床工学技士の資格として日本臨床工学技士会の専門臨床工学技士認定制度、透析療法合同専門委員会(日本腎臓学会・日本泌尿器科学会・日本人工臓器学会・ 日本移植学会・日本透析医学会)の透析技術認定士などの資格が知られています。このような資格制度のあり方は今後看護師、臨床工学技士、さらに栄養士等の分野でも議論されていく可能性があります。日本透析医学会は日本看護協会、日本腎不全看護学会、日本臨床工学技士会、さらに日本血液浄化技術学会等とも連携して専門医制度のあり方を考えて行くことが重要と思われます。資格制度のあり方を議論する時期にきています。日本透析医学会の方向性等も早い時期に明確にできればと考えています。

  またわが国の統計調査は世界的にも認知されたデータベースであり、今後もその充実は極めて重要な課題です。ガイドラインの整備も多方面から要望されています。そのためにもわが国独自のエビデンスを世界に向けて発信していく事は日本透析医学会の責務です。統計調査の充実と整備を早急に進めていきたいと考えています。

  その他にも血液透析に比べて腹膜透析、移植が極めて少ない状況など、これまでも指摘されている多くの問題に対して日本腎臓学会、日本腹膜透析医学会、日本移植学会、日本臨床腎移植学会等の関連学会とも協調して、本邦の腎不全医療の適切な状況を検討し、患者さんに最適な医療を提供できるよう学会員の皆様とも協力して取り組んでいきたいと考えています。患者さん、そして会員の皆様ならびに腎不全医療に関わっている医療関係者の皆さんと共に全力で取り組んでいく所存です。会員の皆様をはじめ、関連する学会、団体および関連企業の皆様のご指導、ご支援を宜しくお願いいたします。
 

平成28年6月吉日


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